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虐めの復讐(6)

どれくらいの時間、乳房を愛撫されていたのだろう。
龍太は自分がどれほど乱れていたのか覚えてなかった。
ずっと快感の渦の中で溺れていたような気がする。
1分なのか1時間近くなのかすら分からなかった。
時間の感覚がおかしくなるほど快感に流されていたのだ。
我に返ったのは和彦の指が股間に伸びてきたためだった。
「やめろ!」
龍太は和彦を突き飛ばした。
和彦は後ろ向きで倒れた。

和彦は起き上がった。
「痛いじゃない」
相変わらず李奈の話し方をしてくる。
あくまでも李奈の振りを続けるつもりのようだ。
「うるさい!いくら女の振りをしてても、お前は三雲だ。これ以上やったらブン殴る!」
「えええっ、わたしは李奈よ」
そう言いながら、再び乳房に触れようとしてきた。
「やめろって言ってるだろ!」
龍太は和彦の頬を拳で殴った。
「いってぇ…。ホントに殴りやがったな」
ついに本性を現しやがった。
「だからさっきから言ってるだろ。人の忠告は素直に聞くもんだ」
「せっかく女の快感を教えてやろうとしているのに、どうしてだよ」
「何が女の快感だ。俺は男だ。そんなもんを知る必要はない」
「ちくしょう。覚えてろよ」
ついには敗北者が最後に言うお決まりの一言を残して、和彦は部屋から出て行った。
龍太もすぐ後に続いて部屋を抜け出そうとしたが、できなかった。
すぐに扉が閉まり、開けることはできなかったのだ。

女の身体にされて、自分を見失っていた。
しかし、もう大丈夫だ。
いつもの九鬼龍太に戻れた。
これから何か起こってもそれなりの対応をすることができるだろう。
そう思う。

グゥ〜〜〜〜

腹が鳴った。
そう言えばこの状態になってから、何も食べていない。
こんな身体になってからいろんなことがあった。
しかし今まで空腹であることを意識しなかったということは、さほど時間が経っていないのかもしれない。
そう言えばトイレにさえ行っていないのだ。
それほどの時間が経っているはずがない。
すべての感覚がおかしくなっていたようだ。

「おい、どこかで俺を見てるんだろ。腹が減ったから、なんか食う物をくれないか」

しばらく待っていると、男がひとりサンドイッチと飲み物が置かれたトレイを持って入ってきた。
見覚えのある顔だ。
おそらく中学から一緒だったやつなんだろう。
しかし名前は知らなかった。
龍太にとって和彦だけが唯一名前を知っているやつだったのだ。

男は龍太に近づこうとせず、入り口の近くにトレイを置いた。
「九鬼くん、ここに置いとくよ」
「おお、サンキュー」
男は驚いたような表情を浮かべた。
きっと龍太が礼を言うとは思ってもみなかったのだろう。
龍太は売られた喧嘩は買うが、むやみに喧嘩することはなかったはずだ。
それなのになぜか誤解されている。
あれだけ喧嘩ばかりしてたら仕方がないのかもしれない。
普通の人間にとっては、龍太は乱暴で恐ろしい人物であることに変わりはないのだから。
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