FC2ブログ

虐めの復讐(12)

意識が戻るにつれ、身体の痛みが襲ってきた。
全身にスタンガンを当てられたせいだろう。
あるいはそれ以上に殴られたせいか。
いずれにせよ身体中が痛い。
龍太はゆっくりと目を開けた。

目の前に和彦が「オジキ」と呼んでいた男がいた。
そして弁当を持ってきてくれる谷川も。
「大丈夫ですか?」
オジキが相変わらず丁寧な口調で聞いてきた。
「…ああ、一応死んじゃいないみたいだ」
「かなりひどいことをされたみたいですね」
「ああ、アンタのせいでな」

「和彦には必ず脱がせるように言っておいたんですけどね…。こんなに長い間、これを着てるとダメかもしれない」
「ダメってどういうことだよ。脱がせられないっていうのか?」
「はい、そうです。このスーツは肌との親和性が良すぎるんです。だからあまり長い間着ているとスーツと肌の境目がなくなってしまう。つまり一体化してしまうんですよ。一体化してしまっていたら、スーツ自体が君の肌になってしまったということです」
「う…嘘だろ…」
「調べてみましょうか」
オジキは龍太の首のあたり、そして背中を調べているようだった。
そして深いため息をついた。
「やっぱりダメみたいです」
「無理矢理剥ぐことはできないのか?」
「スーツを溶かす薬剤はありますが、君の肌を傷つけるだけでしょうね」
「それじゃ元の俺の身体のスーツを着るってのはどうだ?」
「スーツの上からスーツを着ても、どういうわけか密着しないんですよ。薄いスーツを着ているだけで、全然身体とフィットしません」
「ということは打つ手なし…か?」
「はい、今のところはそういうことです」
「今のところはって?」
「研究成果によっては脱がせられるかもしれないし、スーツの上からでも変身できるスーツができるかもしれないってことだけです。それが1年先か2年先かも分かりませんし、もしかしたら永遠に不可能かもしれません」
「それじゃ俺はこの姿で生きていくしかないってことになる…」
「…申し訳ないですが、そういうことです」
どうやらこの身体で生きていくしかなさそうだ。
龍太は覚悟を決めた。
「なら、この身体で生きるための金をくれないか?こんな田舎だと変な噂を立てられるだろうから、東京にでも行って、女として生きていくから」
「分かりました。それくらいはしないと申し訳ないですからね。あと女性として生きていくのなら、それに必要な措置をしますね」
「何だよ、それ?」
「女性ホルモンですよ。そうしないと、すぐに肌が老化してしまいますから」
「具体的には何をするんだ?」
「擬似の卵巣と子宮を作ります。と言っても、妊娠することはありません。あくまでも女性ホルモン供給のためです」
「しなくちゃいけないのか?」
「しないと1年もしないうちにおばあちゃんみたいな肌になってしまいますよ」
「それじゃやってもらうしかないな。女として生きていかなくちゃならないんだったら。ただし変なことは絶対するなよ」
「そこは信用してもらうしかありませんね。あと戸籍も準備しましょう」
「戸籍?」
「ないといろいろと不便ですよ。働くことも難しいでしょうし、部屋だって借りられない」
「確かにそうだな。なら頼む。それと俺からの頼みだけど、俺を犯した奴らに仕返しをしたいんだ」
「仕返し。気持ちは分かりますが、暴力はちょっと…」
「暴力は使わない。ちょっと脅すだけだ」
「あんまり目に余ることをしたら、私が止めますよ」
「ああ、それでいい」
龍太は頷きながら言った。


17:42 | 虐めの復讐 | comments (0) | trackback (-) | page top↑
虐めの復讐(13) | top | 虐めの復讐(11)

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する