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虐めの復讐(16)

東京に生活の拠点を移してからも谷川とのメールのやりとりがしばらくの間はあった。
今回のこの事態になった元凶の和彦は1週間も経たずに復活したらしい。
さすが和彦だ。
それからは復活する者が続き、大半の者が普通の生活を取り戻したらしい。
しかし3人はひと月経っても家から出られない状態が続いているとのことだ。
龍太の影に怯えて外に出ることができないらしい。
それもやがて普通の生活を取り戻すだろう。
そんな他愛のないやりとりは時間の経過とともにフェードアウトしていった。

そして年月が経った。
涼香は27歳になっていた。
※筆者注:これから先は"龍太"ではなく"涼香"と記します。

涼香は東京に出てから、すぐにキャバクラで働き出した。
女性を売りにするのは気が引けたが、学歴も身分保障もない状況で、働けるところは限られていた。
しかし、そのキャバクラで働くことで、女っぷりは否応なく上がった。
ただでさえ美人だったのが、女としての駆け引きを揃えた。
それに加えて、中出しさせても妊娠の心配がない身体だ。
金を持ってる客とは迷わず寝た。
おかげでかなり金を稼げた。
しかし店ではトップにならないように細心の注意を払っていた。
女どうしの醜い争いに巻き込まれたくなかったからだ。
キャバクラの内情を何も分かっていないときにうっかり1位になってしまったときがあった。
そのときの嫌がらせはひどかった。
1位から落ちると嫌がらせが止んだ。
ビギナーズラックということで、さほど厳しく見られていなかったことが、嫌がらせが短期で治まった大きな要因だった。
それからは常に上位争いをするほど売り上げを稼いではいたが、絶対に1位にならないようにしていた。
2位にすらなることもできるだけ避けていたほどだ。
ただしあくまでも表向きの売り上げだけの話だ。
個人的な努力による収入は確実に手に入れていた。
とにかくその店で涼香は自分の居場所を築いていた。

そんな店に三雲がやってきた。
あれから10年ほど経っていたが、店に入ってきたときに三雲だと分かった。
常連の男性に連れられてやってきたのだ。
「坂下さん、この店のナンバーワンの涼香ちゃんだ」
「涼香です、よろしく」
男性は三雲のことを「坂下」と呼んだ。
三雲ではないのか?
「さすがに東京の女性は綺麗ですね」
坂下と呼ばれた男は涼香のことを知らないようだ。
涼香は三雲だという自信が揺らいだ。
いろいろと話をしていると、坂下はすでに結婚していることが分かった。
どうやら思い違いのようだ。
それでも確かめずにいられなかった。

「お店が終わったら、遊びに行っていい?」
「えっ、…もちろん」
坂下は涼香の誘いに簡単に乗ってきた。
宿泊しているホテルの部屋番号を教えてくれたのだ。

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